17人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
家に付いた俺は、とりあえず彼をバスタオルでくるんだ
湯が沸く間、ぐっと胸にしまいこんだ
もう目は閉じている
呼吸はかろうじてしている
弱い心臓音が、より俺の胸を早くさせる
待ちきれなかった
ぬるま湯だったが、彼に湯をゆっくりかける
体の泥を落として、バスタオルでまたくるむ
とにかく温めなければ
彼を抱いたまま、ホッカイロを何個か開けタオルに包み、そのタオルを今のタオルの上からくるむ
「しっかりしろよー…、生きろよー…」
胸に抱いた小さな命を励ました
それでも彼は目覚めない
死んでしまったのか
「なぁ、犬コロ、おい。おい、大丈夫か?なぁ…」
何度呼び掛けても、その瞳は開かない
口に耳を近付けても呼吸がない
生き絶えた…!?
「………」
俺は彼を拾ったことを後悔した
自分の手で殺めてしまったも同然で、身勝手で、最悪だ
ぐったりとした彼を、畳に置いて、自分もぐったりと倒れた
視界が曇って、手足が痺れた
そこからは意識がない
最初のコメントを投稿しよう!