1.犬になったタダシ

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家に付いた俺は、とりあえず彼をバスタオルでくるんだ 湯が沸く間、ぐっと胸にしまいこんだ もう目は閉じている 呼吸はかろうじてしている 弱い心臓音が、より俺の胸を早くさせる 待ちきれなかった ぬるま湯だったが、彼に湯をゆっくりかける 体の泥を落として、バスタオルでまたくるむ とにかく温めなければ 彼を抱いたまま、ホッカイロを何個か開けタオルに包み、そのタオルを今のタオルの上からくるむ 「しっかりしろよー…、生きろよー…」 胸に抱いた小さな命を励ました それでも彼は目覚めない 死んでしまったのか 「なぁ、犬コロ、おい。おい、大丈夫か?なぁ…」 何度呼び掛けても、その瞳は開かない 口に耳を近付けても呼吸がない 生き絶えた…!? 「………」 俺は彼を拾ったことを後悔した 自分の手で殺めてしまったも同然で、身勝手で、最悪だ ぐったりとした彼を、畳に置いて、自分もぐったりと倒れた 視界が曇って、手足が痺れた そこからは意識がない
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