新しい家

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それから十分くらいで新しい家を見つけた。車はその家の前で停止した。 「あなた、ここ?」 「ああ、立派な家だろ?」 新しく住む家は、とてもきれいで大きい、前に直人達が住んでいた家よりかなり立派な家だった。 「なんでこんなに立派な家が格安の売り家になってるの?」 母の質問に父は答えた。 「富豪さんの方が何年か前にここに家を建てて住み始めたらしいんだが、一週間もたたないうちに息子さんがどうしても嫌と言うんで、ここを売り家にして前の家に帰ってしまったらしいんだ。」 「それはよかったわね。」 「ああ、何年かはこの近くで働くことになったから、この家が見つかって本当に助かったよ。前の家からじゃかなり遠いからな。」 晶子と和彦は楽しそうに会話していたが、直人はどこか不安そうな顔をしていた。
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