①留と夢の出会い編

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しかし向かっている途中で彼ははてしなく学校へいくのが面倒になってきていた。 『あっ留くんだ!!写メっとかなきゃ!!』 『留先輩だよ!!挨拶してみようよー!!』 理由は単純。 学校に近付くにつれて同じ学校の制服をまとった女子たちの、そんなことを言っている声が沢山聞こえてきたからだ。 写メっとかなきゃってなんだよ……。 留は思わず心の中でそうつっこんでしまうが、正直かなりうんざりしていた。 実際、留は別にモテること自体を嫌っている訳ではない――。 だが毎日のように隠し撮り(隠しきれてないが)をされたり、今のように朝から騒がれるのは、低血圧な留にはうざったいことでしかなかったのだ。 しかしだからといってそれを表情にだしたりはしない。 “学校用の自分” をちゃんとつくっているのだ。 そしてこれがまたモテる理由の一つとなっている。 頭脳明解、スポーツ万能。 さらに性格は、黒い部分を隠して、面白く話しやすい、それにつねに誰にでも笑顔で接しているので、皆には優しくて非の打ち所がない人だと思われている。 終いには学校内で王子様と言われる存在とまでなっていた。 .
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