第一章‐学園の違和感

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そして時は過ぎ、風車は部屋で小学校の頃のことを思い出していた。   「調理実習の時間、綾ちゃんは何作ったっけ?」   考えること約三分。   「……しまった! 綾ちゃんは調理実習でカレーライスを作るときに、鰈ライスを作った人だった!」   カレーと鰈を間違えたらしい。   「かざぐるまーっ! 出来たから下りて来なさーい!」   「ミートスパゲティだよね……うん」   風車は綾女を信じて、リビングへ向かった。  。 「あのさぁ綾ちゃん?」   「なに、食べなよ」   ミートスパゲティを目の前にして、呆れる。   「……確かにこれはミートスパゲティだよ? 食肉の方のミートだけどね」   なんとそこになったのは、ミート(食肉)スパゲティだった。   「何で綾ちゃんはこんなケアレスミスばかりするのさ!?」   「あれ? 何かミスった?」   自覚はないらしい。   「全く、こんなんじゃお嫁にいけないよ?」   風車はそう言って綾女の方を見る。   「うぇぇっ!?」   すると綾女が包丁を持って風車を睨んでいた。   「貴様……その口を切り落としてやるーっ!」   「ちょっ、待って待って!」   しかし、綾女が止まる様子はない。   「待ってってば、このっ……風よ、我に従え、我を包み、鉄壁の盾となれ!風操術-守-風包!」  突然、風が風車を包み込む。 そしてたちまちその風は堅くなり、綾女の包丁アタックを見事ガードした。   「え!? あ、かざぐるまアンタ……」   「使っちゃった……」   これが例の風見一族の力、風操術(ふうそうじゅつ)だ。 風操術の技の種類は、大きく分けて[功]と[守]の二つがある。 守式には、今回の風包(ふうほう)以外もある。 功式も同じく種類は一つじゃないが。 だが、風見一族で風車だけが会得したと言われる、風操術の技があるらしい。   「アンタ、使って良かった……わけないわよね?」   眠っていた……いや、正確には、眠らしていた能力が目覚めてしまった。   「また、またバケモノ扱いされちゃう……」   風車は、過去に自分がバケモノ扱いされたことを思い出したのか、体が震えている、   「う~ん……あ、そうだ!」   綾女が何か閃いた。   「なに?」   「アンタさ、昔言ってたみたいに、それで誰かを守ってやりなよ」   ポカンと呆気にとられる。   「あれ? また何かミスった?」   「いや、そうするよ! 頑張るぞー!」   「全く、バカ正直者なんだから」   だが、驚異はすぐそこにまで迫って来ていた……
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