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そして時は過ぎ、風車は部屋で小学校の頃のことを思い出していた。
「調理実習の時間、綾ちゃんは何作ったっけ?」
考えること約三分。
「……しまった! 綾ちゃんは調理実習でカレーライスを作るときに、鰈ライスを作った人だった!」
カレーと鰈を間違えたらしい。
「かざぐるまーっ! 出来たから下りて来なさーい!」
「ミートスパゲティだよね……うん」
風車は綾女を信じて、リビングへ向かった。
。
「あのさぁ綾ちゃん?」
「なに、食べなよ」
ミートスパゲティを目の前にして、呆れる。
「……確かにこれはミートスパゲティだよ? 食肉の方のミートだけどね」
なんとそこになったのは、ミート(食肉)スパゲティだった。
「何で綾ちゃんはこんなケアレスミスばかりするのさ!?」
「あれ? 何かミスった?」
自覚はないらしい。
「全く、こんなんじゃお嫁にいけないよ?」
風車はそう言って綾女の方を見る。
「うぇぇっ!?」
すると綾女が包丁を持って風車を睨んでいた。
「貴様……その口を切り落としてやるーっ!」
「ちょっ、待って待って!」
しかし、綾女が止まる様子はない。
「待ってってば、このっ……風よ、我に従え、我を包み、鉄壁の盾となれ!風操術-守-風包!」
突然、風が風車を包み込む。
そしてたちまちその風は堅くなり、綾女の包丁アタックを見事ガードした。
「え!? あ、かざぐるまアンタ……」
「使っちゃった……」
これが例の風見一族の力、風操術(ふうそうじゅつ)だ。
風操術の技の種類は、大きく分けて[功]と[守]の二つがある。
守式には、今回の風包(ふうほう)以外もある。
功式も同じく種類は一つじゃないが。
だが、風見一族で風車だけが会得したと言われる、風操術の技があるらしい。
「アンタ、使って良かった……わけないわよね?」
眠っていた……いや、正確には、眠らしていた能力が目覚めてしまった。
「また、またバケモノ扱いされちゃう……」
風車は、過去に自分がバケモノ扱いされたことを思い出したのか、体が震えている、
「う~ん……あ、そうだ!」
綾女が何か閃いた。
「なに?」
「アンタさ、昔言ってたみたいに、それで誰かを守ってやりなよ」
ポカンと呆気にとられる。
「あれ? また何かミスった?」
「いや、そうするよ! 頑張るぞー!」
「全く、バカ正直者なんだから」
だが、驚異はすぐそこにまで迫って来ていた……
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