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「っていうかさ、あんたの風操術ってなんなの? 私も詳しくは知らないんだけど」
綾女は今まで、風車を慰めたりはしてきたが、風操術に関してはあまり関与していなかった。
「じゃあ、風操術の簡単な説明をするよ」
風車は説明を始める。
「まず、力の源は[風]なんだよ」
「え? でもさっき使った時は風なんか吹いてなかったわよ?」
「最後まで聞いて! 質問はあとで聞くから!」
「は~い」
「それで、風の無い場所で使えた理由……それは、お父さんが僕に行った儀式なんだ。その時何かが体の中に入り込んだんだよ。それが風操術の本当の力の源である[風]なんだ。でも、僕の中の風には限界があってね、ランクの高い技は身の周りの風を利用しなきゃならないんだよ。さっきの風包は、一番低いランクだからね」
「じゃあ使い過ぎるとどうなるの?」
「体力、精神力の消費及び低下は、風の消費及び低下に繋がって、逆も同様。つまり、ちょっとヤバくなる」
「でもさ、体内の風はどうやって使うの?」
「あ、それは、さっき詠唱したでしょ? あれがポイントなんだよ。詠唱をすることによって、体内の風を掌から放出して、外部で技を形成するんだよ。それから、詠唱の種類に応じて必要な風の量が変化するから、ランクの高い技は体内の風だけじゃ不十分だから、身の周りの風を必要とするのさ。で、それを可能にするのが、この右の掌の穴」
「ふーん、なるほどね」
綾女は極端に理解力が低い。
「簡単な説明はこんなところだよ」
「あとで紙に書いて渡しなさいよ?」
「なんで!?」
やっぱり綾女は理解していなかった。
「私はお風呂入ってくるから! あ、覗いたらアンタの明日はないと思いなさいよ♪」
笑顔でそう言って、風呂場に行ってしまった。
「顔しか笑ってないんだけど……」
「ん、生き返るねー♪ 死んでないけどさ!」
くだらない小ネタはかましながら、綾女はシャワーを浴びている。
「あがったわよ~♪」
髪の毛をバスタオルでくしゃくしゃしながら、綾女がリビングに戻ってきた。
「あ、書いておいたよ!」
「ん、よろしい」
風車はそれから風呂に入り、上がった。
「アンタはそこで寝なさいよ」
風車の寝床、それは廊下だった。
「うぅ、おやすみ……」
「おやすみ~♪」
明日もまた、平和である事を祈って、二人は寝たが……
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