Relictパート

3/3
前へ
/8ページ
次へ
「何だったんだ、結局?」 俺は一人、首を傾げた。 んぅ……『わらわの歌を、聞いておけ』って……どうしろと? つか、それだけ言い残して空気に溶けるみたいに消えるとか……やっべ、アレ、マジで神様っぽい。 だいぶ無礼働いちゃったが、天罰とかないだろうか。 ドカアァァン! その爆音は、俺への天罰が下った音……なわけなくて、花火だ。 蛹祭り、その締めとなる、打ち上げ花火。 その音を聞いて、俺は思わず、苦笑した。 「いやはや……さすがは神様っつーかなんつーか」 スケールがでかい。 んで、スケールの割に、度胸は小さいみたいで。 つまりまあ、どういうことかと言えば。 ドカアァァン! その、花火の音に隠れるようにして。 『♪~~♪~~』 小さく、歌声が夜空に響くワケで。 その神々しさを前に、俺は思うのだ。 この歌は、きっとあの胃大なる紙、もとい、神様の義務みたいなもんなんだろう。 他の人には聞こえないはずだが、この歌のおかげでこの地に加護がある。 それを確信させる、神聖な歌声。 ……けどまあ、そんな事はどうだって良くて。 あの神様……もとい小学生は、俺に言ったわけだ。 『わらわの歌を、聞いておけ』って。 それって、つまりさ―― 「ど、どうかのぅ……その、う、上手く、歌えておったかのぅ……?」 自分の歌を聞いてほしいっていう、可愛らしい心意気なわけで…… それを正確に汲み取って、俺は言った。 「いやド下手」 「おぬし最悪じゃあ!」 痛い。蹴られた。脛を。 「おぬしのように愚かな奴には、罰を下さねばならんなあ?」 いや既に下ったんだが。脛に。 俺の葛藤を無視して、神様……ではなく、小学生な少女は、告げたのだ。 恥ずかしそうに。 それは花火の散る夜に。 「時々で良いから……わらわに会いにこい、愚か者」 ~Fin~
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加