忘れもの

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 空の飛行機雲がゆっくりと膨張している。  学校帰りの電車の中で私、町本由季はぼんやりと外を眺めていた。  隣の親子の会話が耳に飛び込んでくる。 「お母さん、お母さん、僕ね、今度のお父さんの誕生日に似顔絵あげるんだ」  男の子はにこにこと母親に話かけている。 「あら、そう、お父さんきっと喜ぶわね」 「でも、お父さんにはまだ内緒だよ」 「はいはい」  2人はさらに会話を続けている。
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