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「出来たよ~」
彼女が朝ご飯を作ってくれた
ご飯とおかずと味噌汁、朝は時間がないし、食事は雑だ
ふと彼女と味噌汁を同時に見てしまい、昔学校で水と塩のように完全に混ざり合い1つのものになるのが化合物、水と味噌のように完全には混ざり合わない1つになれないものが混合物だと聞かされたことを思い出した
僕らは混合物だ…
いくら混ぜても、いくら混ざり合っても、混ざっているようで混ざっていない。時が経てば水と味噌のようにいずれは完全に別れる
決して1つにはなれない…
「あのさあ…」
なんとなく思い出したその話を彼女にした
なんというか、今言わないと忘れてしまいそうで…
言いたくなったら言ってしまう性格で…
僕らもいつかは別れるんだね、そう話した
「あんたと1つになんかなりたくないわよ、私は私でありたい。それに、死ぬまではずっとかき混ぜ続けるわよ、少なくとも私はね」
と、彼女は答えた
「ハハ…」
なんとなくプロポーズの言葉に聞こえてしまったけど、僕は聞き流した。ちゃんとしたプロポーズは僕からしよう
「いただきます」
食事の挨拶をして、味噌汁をはじめに飲んだ。少しだけぬるくなっていた
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