13人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
高校生だろうか
コンビニから出てきた男の子が、食べていたガムをレシートに包んでゴミ箱に捨てているのを見かけた
その仕草が友人の姿に見えて、私は思わず声を掛けようとしてしまった
でも声を掛けようとした時に、その子の顔があまりに友人と違い、いまさらのように我に返り、声を掛けるのをやめた
私はもう35歳で、その友人は高校時代に事故で既にこの世から亡くなっているのだから
昔彼になぜレシートを包み紙に使っているのか聞いたことがある
「ガムの包み紙だけじゃちゃんと包めてるか不安なのよ、この前カバンに包み紙で入れてたらガムはみ出してて取るの大変だったわ。レシートって使わないし、包み紙には調度いいんだわ」
そういった彼の面影をその少年に重ねながら思い出していると、ふと思った事があった
ガムをレシートに包んで捨てる仕草なんて、その友人以外今まで見たことなんてなかったし、年齢的にも彼であってもおかしくないのかもしれない…
神様とか、生まれ変わるとかなんて信じない私だったが、この時私は確かにそれを信じていた
彼はこの世で生きている
また新しい人生を…
私は彼の背中に向かって
「もう事故るなよ」と、そっと呟いた
最初のコメントを投稿しよう!