帝王・シド

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「姫野さん!」 「あっ、すいません」 「授業中に携帯は禁止でしょ」 引き続き、携帯でブログをチェックしていた郁恵が教師に見つかってしまった。 「バカ……。なにやってんのよ」 と隣りの席の京子が嘆いている。 「保険ゲームね。はっきり言って、なんでそんな危険なゲームを学校が黙認してるのか、私にはわかりません」 「観月先生、まだ来たばかりだから……しょーがないよ」 前の席の男子生徒がからかうように言った。 観月先生は、英語の教師で今春この学校に赴任したばかりだ。 まだ若く、容姿も端麗で生徒からも人気がある。 しかし、この学校の特異性はまるで理解してなかった。 ただ進学校で、給料も良く、この学校に入れてラッキーだと喜んでいただけなのだ。
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