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別のプトラから、ペリンと呼ばれる者への一機へ通信が伝わり。機体は銃口を傾け飛び去ろうとしていた。─
──「待てや、そこのケバい機体」
その瞬間だった。ペリンはスピーカーを通してその言葉を耳にし、
直後に機体は再び銃口を向けた。
『誰だイ?今僕のプトラがケバいとか言ったのは愚か者は…』
ザスラは腕を上げたまま首を振って叫ぶ。
「そッ、空耳ッすよお兄さんッ!!!!ほらよォ~く耳をすませば何も…」
「俺だよこのケバカス機体」
─モヒカン男が背を向けたまま喋り、ザスラは涙目で絶望した。
「若ァアアアアッ!!!!マズいッて若ァアアアア!!!!
ちょ…すいませんッ!!ホントッ!!後でよ~く…」
「何がマズいんだよザスラ。こいつら“保安局”じゃねぇぜ。だいたい役人でもねェ連中が何銃ブン回してんだ…。」
「若ァアアアア!!?ちょっとそれは更にマズいでしょうよッ!!“保安局”でも無いにしろどのみち…」
「だいたいカラーリングのセンスが悪趣味だ。
こういうのはクズが乗ってるのが相場なんだよ」
「若ァアアアア!!!!人の話聞いてェエエエエエ!!!!」
泣きながらのザスラの言葉に耳も傾けず……
モヒカンに対し、ペリンは頭に血を昇らせた。『何言ってんのッ!!君たち平民とさっきの“鉄クズ”の方がよっぽどクズじゃないィ!!?可笑しいねェ……
…君らはァアアアアアァッ!!!!』
ペリンの機体は特注のレールガンの弾丸をモヒカン男に向けて放つが、当たる寸前でモヒカン男は走りだして、相手の闇雲な連射の中を激走し械蟲の引いてきたコンテナに向かう。
『やっちゃぇエエエエェ!!!!』
周囲の機体がレールガンで一斉射撃し、直撃の寸前でコンテナにあるドアからモヒカン男は内部に入るが、コンテナには弾丸が全弾命中し大破する。
『ハハハハ…ホントつ~まんないぃ~♪』
ザスラは破壊されるコンテナを見て愕然として呟く。
「いや、ありゃアレでやべぇ…。…バーザスの若…本気でキレちまった…」
『さァッて残りの“悪い奴”も…』
─『待てっつってんだろがヲイ…』
通信から声が聞こえたその時、吹き抜ける土煙と硝煙から、一機の無骨な容姿のボーグスが出てきた…。
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