海底の瞳

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  包帯がとれると 始めはぼんやりとした視界が ゆっくりとピントが合っていき 母の顔がよく見えた。 随分と皺が多くて、私は驚いた。 眼が良くなってからも 度々私は瞼を綴じて夢の中へと出掛けた。 自らが創り出した水中の世界が 楽しくって仕方がなかった。 ただ泳いでいるイメージなのに。 他人には理解してもらえなくても 私は満足だった。  
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