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15歳の夏、
ほとんど物が見えなくなっていた私は
角膜の移植手術をうけた。
誰の角膜だったのかは
私には教えてもらえなかった。
手術が終わり、
包帯で閉ざされた暗闇の中で
私はずっと夢を見続けた。
澄んだ水の中は降り注ぐ光が
オーロラのように煌めいて
銀の鱗を持った私は自由に游ぐ。
そんな夢だった。
海の香りまで届きそうで
気持が良かった。
水に浮かんでいるような
感覚にさえなれるのだ。
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