1章~入学式~

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それを見て 「若、強くななられました。」 と甲さんが言ってきた。 「いや、そんな・・・俺は何も・・・」 と言うと 「いや、空手よ。見事だ。強くなったな。」 と親父も誉めてくれた。 「ありがとうございます。」 と頭を下げると 「よい、それより時間だぞ。」 と親父が言ってきた。 「さぁ若、急ぎましょう。学校に遅刻しますよ。」 甲さんが言ってきた。 「分かった。今行きます。」 と俺は言った。 そう晴れ舞台とは今日は学校の入学式だ。 そして、玄関の前で後ろを向くと皆が見送りに来てくれた。 『若、行ってらしゃいませ。』 と皆が言うと親父も 「行ってこい。空手よ。」 と見送ってくれた。 「はい、分かりました。」 と言って俺は歩き出すと 「空手!」 と親父が俺を引き止めた。 「はい?」 と俺が振り向くと 「すまなかったな。今まで辛い思いばかりさせてしまって。それに学校だって・・・」 と悲しい顔をしながら親父は言ってきた。 「親父!俺は気にしてませんよ。それに今の俺があるのは親父や皆のお陰です。」 と言うと 「そうか・・・なら行ってこい。」 と親父は言った。 「はい、行ってきます!」 と俺は走り出した。
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