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「空手・・・」
と先公は呟いた。
「何だ、先生俺をしってんのか?」
と聞くと
「いや、そうじゃないんだ。ただ・・・一年前教え子で君と同じ空手と名前の子がいたんだよ。君とは違って力も無さそうな静かな子だったよ。」
と先公は悲しそうに言ってきた。
「思い出した!コイツ俺の担任だった奴だ!」
と思い出し
「そうか、それでソイツはどうしたんだ?」
と俺は聞いた。
「行方不明になったんだよ。学校からの帰り道。それから彼はまだ見付かってないんだ。」
と先公は涙をこらえながら言った。
「すいません。先生。」
と俺が言うと
「いや、君のせいじゃないよ。それより書類とクラス名簿を貰って。早く行くと言いもうじき入学式が始まるよ。」
と言うと先公は渡してくれた。
「ありがとうございます。それじゃあ。」
と言って俺は歩き出した。
『西中の田中をあんな軽々と』
『恐いねぇ~』
『しっ!目を合わせたら殺されちゃうわよ!』
と周りの奴らが言っていた。
これからが思い遣られる・・・と俺は思いながら入学式会場である体育館へと向かった。
体育館の中は新入生と親御さんで賑わっている。
「俺のクラスはえっと・・・4組か、縁起ワリィ~」
と言いながら俺は4組の出席番号13番の席に座った。
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