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時間がなくなってきているのはよく分かる。孝志がさり気なく頬杖をつきながら言った。
『結局、お前は美羽を落とせないままだな』
『……、』
元々は、美羽を振り向かせる為に美羽に近付いたのに、この状況を見ると本元をすっかり忘れていたのだと思った。第一、美羽に高田裕平の存在が過去にある時点で――――。
『諦めないよな?』
『え、あ?』
唐突に孝志に質問されて驚くと、また『諦めないよな?』と言ってきた。諦めるも何も。美羽はこの世からいなくなる。
『いや……えっと』
言葉に困ってると、孝志が鋭い目で俺を見て来た。(睨んだにほぼ等しい)
『そのつもりだ、けど』
結局、こう言った。諦めないというか諦めることが到底出来ないのは事実。そう自分に言った。
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