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『美羽ちゃん、点滴交換しましょうねー』
看護婦は薬液が満タンに入った袋を持って病室に入ってきた。
『はい、お願いします』
笑顔で言う美羽。しかし、そこまで笑顔を続けられるほどの体調ではなかった。
朝から気持ち悪さを感じ、食欲もない状態である。だから今日は点滴で体内に栄養をいれることになった。作業を終えた看護婦は空の袋を持って美羽の様子を伺った。
『どう?まだ気持ち悪い?』
『少し……食欲は真っ平ですね』
苦笑いを見せると、美羽は『大丈夫よ、直によくなるわ。』頭を撫でられた。
『きっと疲れとストレスなのよ。』
『……そうかもしれないです、ね』
不自然な間をはさんでから弱々しく美羽は言うと、看護婦は切なそうな顔をして出て行った。
唇を噛み締めて、右手で胸元をくしゃっと握って目を瞑る。
『――次で最後かな……』
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