淡。

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ベッド脇の棚を見たら、テレホンカードが目について懐かしくて、つい笑った。 『どうしたんです?』 『いや、テレホンカードなんて、懐かしいなーって』 美羽は、俺の視線を追ってテレホンカードを見ると『ああ、そうですね。全く公衆電話も見なくなったし』と言った。 携帯電話が普及した今、公衆電話なんて必要とされなくなったのだ。つまり、自動的にテレホンカードも不必要ということになった。子猫と子犬が可愛く写ったテレホンカードだった。美羽は、心臓病だったから携帯を使えなくなったのか。やっと分かった。 『あ』 俺のあげたペンダントがテレホンカードから少し離れたところにあった。美羽はペンダントを手に取って、握り締める。 『これ見たら電話したくなったんです』
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