温もり。

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そう言ってはにかむ美羽がすごく可愛くて、愛しくなった。顔を手でひきのばして、にやけてしまうのを抑える。へんに思われるのは勘弁だ。 『日向くんじゃないか』 白衣をきた雅が病室に入ってきた。俺はどうも、と言って軽く挨拶をすると眼鏡を上げて、美羽に視線を移した。 『ごめんな、取り込み中に。美羽今日点滴にしたって聞いたから様子見にきたんだ』 【いや、あの――手術するならするのもありだけど、しなくても様子は見れる訳だ。手術は莫大なコストがかかるわけで……】 雅と距離を感じる。美羽に質問し答えてもらいながら、聴診器を当てる。何を考えながら、聴診器で美羽の心臓の音を聴いてるんだ?美羽はもう――助からないって分かっているのに。ぎゅっと、手を握り締めて俯いた。あまり、雅の顔は見れない。 『日向くん?』 きた。 『っ――――はい?』 裏返り気味の声が出た。でも雅は気付いていないようで、普通に話しかけてきた。 『顔色悪いけど……大丈夫か?』 『…………へっ?』 顔を上げて雅と目が合った。横から美羽が覗いてきて『本当だ。大丈夫ですか?』と言った。別に気持ち悪くも何もないのだが。
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