1.すとれんじ

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  顔を洗って制服に着替えた後、いつも通り1階のリビングへ向かう。 制服は、明るい茶色のブレザーと赤地に白でチェック柄のスカート。 ブレザーはどこにでもありそう、と見せかけて裏地がピンク色だ。 スカートに至ってはかなり珍しい。 二重構造になっていてプリーツが無く、アーチ状にレースが裾を飾っている。 むしろ制服に見えない。 「ごっはん~ごっはん~。おはよー母さん。」 「おはよう、読湖。もう、ママって呼びなさいっていつも言ってるでしょう?」 「はーい。」 読湖が呼びかけたのは、母の奈々美。 いわゆるパッツンの前髪で、漆黒の濡れ羽色をした艶やかな髪が、まっすぐ腰まで伸びている。 170センチ以上はある高めの身長だが、なかなかグラマーで均整のとれた体だ。 目元はややたれぎみで細く、癒しオーラ全開の優しさが、微笑んだ表情に出ている。 30代後半とは思えない顔立ちとプロポーションは、近所の男達に大人気だろう。 「あ、パパもおはよー。」 「凍湖、俺は母さんのついでなのかい!?それにお父さんと呼びなさいと言ってるじゃないか。お父さんは悲しいぞ~。」 「はーい……。」 泣いた振りをしていじけているのは、父の明人。 妙に長い黒の前髪が鬱陶しく伸び、猫背なので180センチくらいの身長が小さく見える。 顔立ちは前髪のせいでよく見えないけれど、空気というか雰囲気が、かなりの冴えなさをかもしだしている。 また、やぼったい眼鏡をしているので顔はさらに判りにくく、陰気のある格好に拍車をかけていた。   似てなさそうな親二人だが、共通して目に付くところがある。 黒く見える髪の毛が、日に透けると青く見えることだ。 かなり濃い青なのだろう。  
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