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※※※
読湖が学校へ出かけていった後。
明人と奈々美の二人が重い空気の中、箸をつけることもなく朝食を並べたテーブルに座っている。
奈々美は困った顔をしながら明人を見ていた。
見られている明人は落ち込んだ顔でため息をつく。
「明人さん。気持ちは判りますけど、あまり押しつけるとあの子が可哀想ですよ。」
「判ってる。だけど仕方ないじゃないか。とにかく何かしていないと嫌なんだ。」
「困った人ねぇ。」
落ち込んでいる明人の姿を見て、奈々美の表情へ苦笑が混じる。
「あの子のことを想う気持ちを、もうちょっとうまく伝えなきゃね。」
「ああ。気をつけるよ。」
明人のぶすーっとむくれた様子は先程の読湖そっくりで、どう見ても似たもの親子だった。
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