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ひたすら悪態をついている読湖に、女の子が声をかけた。
「よみちゃ~ん。おはよ~。」
「明日から本気で口聞いてあげない、ってみいこいつの間に来たの?」
「さっきから、よみちゃんが大声でお父さんの悪口言ってる時からかなぁ。」
表情どころか声まで間延びしている、みいこと呼ばれた女の子は、繭村琴美。
読湖とは小学校の頃から親友である。
読湖が門の前にいたのは待ち合わせだった。
「あっちゃー。そんなに声出してた?」
「うん。きっと町中の人が起きちゃったよ。」
「それは言いすぎでしょ!まぁいいや、済んだ事だし。」
あれだけ怒っていたのに、恥と一緒に流してしまった。
もっと気にした方がいいと思うが。
「あはは。もう、よみちゃんらしいね。」
言い過ぎでは無いと思ったが、読湖らしい割り切った言い方に、琴美は思わず笑ってしまっていた。
その笑顔を見た後、読湖がふと視線を下げる。
喉元を通り過ぎ、胸元で止めた。
「むぅ……。」
「よ、よみちゃん?あんまりじっくり見られると恥ずかしいよ。」
「ただでさえ背がちっちゃくて可愛いのに、そこだけ大きいとか卑怯。恥ずかしがるところも似合いすぎだし。」
聞こえていないのか、ひたすらじっと胸を見つつ、ひとりごちる。
そう、琴美はかなりのモノを持つ、有り体に言えば巨乳の女の子だった。
見た目と相反する容姿に、ドキリとする男子がかなりいるに違いない。
「ううぅ。ほら、学校いこう~?」
「あぁ、うん。ちょうどいい時間だし、そろそろ出ないとまずいね。もんでいい?」
「会話の繋ぎでさりげなく言っても駄目。」
「ちぇ。気持ちよさそうなのに。」
話をいったん切り上げて、もしくは断ち切って、二人は歩き出した。
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