1.すとれんじ

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  「ふう~、今日も頑張ったよ。うんうん、声がばっちり出てるね。」 「どぅおこがよぉ!!」 これ以上は我慢の限界と言わんばかりに、読湖が叫んだ。 どこがよ!と言っているのだが、寝ぼけてろれつが回っていない。 「それじゃ、もう起きただろうからまた後でね~。」 起きるのを見計らったかのように時計から声が響き、プツッという音とともに静かになった。 この時計、本当に録音なのか疑問が残る。 「あー……、あぁ?」 ボーっとした視線を辺りへふらふらさせているうちに、読湖もだんだんと目が覚めて焦点が合ってきた。 「うー。確実に起きれるのはいいけど、これ絶対体に悪いわ。耳が壊れちゃう。むしろ頭かしら。」 何故読湖がイヤそうにしているのか、答えは簡単。 女の子の声が殺人的に音痴だったからだ。 的確かつ絶妙な音の外れ具合は、人の気を逆立ててやまない。 「あの子もこれさえなきゃねぇ。さて、顔洗って学校行く準備しよ。」 つぶやきながらトンッ、とベッドから降り、寝起きと歌どちらのせいか分からないが、フラフラと歩いて洗面所に向かった。  
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