第3章 噴火

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平成の富士山の大噴火は、まず宝永火口の大爆発から始まった。 午後4時31分、富士山最高峰の剣ヶ峰が爆発。続いて48分には山梨県側の大沢崩れが噴気をだしはじめた。 ――西暦20XX年12月26日、午後4時21分、約300年間眠り続けた富士山は、遂に眠りから覚めた。 午後4時15分 東名高速道路上 東海・東南海・南海地震の影響で通行止めとなっていたため、東名高速道路の路上には、作業車ぐらいしかいなかった。緊急車両のプレートをつけた武田の乗った車は、今は横浜の近くを走っていた。 目立ったビルの崩壊は今のところないので、このあたりの被害は余りなさそうだった。 しかし、車内のデジタル時計が16:21と表示したときだった。 突然富士山の宝永火口から黒煙が上がり、数秒遅れてドーンという爆発音が響いてきた。 噴火だ、と武田は直感した。急いで車を停めると、すぐにガタガタガタ……と爆風が襲ってきた。 富士山を見ると、もくもくと真っ黒な黒煙が上がり、噴火口からは赤く燃えた石が隕石のように降り注いでいた。 急がなければ。武田は、そう思って、車に飛び乗り、急発進させた。
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