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20XX年12月23日、午後6時30分。クリスマスイブが近づいた東京の繁華街はこの時間帯、会社帰りのサラリーマンであふれていた。
三浦雅彦(みうらまさひこ)は、同じ会社で飲み友達である河田と鈴木、それに林原と共に銀座を歩いていた。
「今日はどこ行くか」
はしゃぎながら白髪が目立つ鈴木が言った。
「いつもの所でいいんじゃね?」
と答えたのは、入社時からの友人である河田。
「ああ、そうだな」
そう三浦は言うと、はたと立ち止まった。
「どうした?」
と不思議そうに河田が訊く。
「なんか……今揺れなかったか?」
次の瞬間、突如ドーンと言う激しい振動が三人を襲った。揺れは時間が経つにつれ、どんどん激しくなる。
「じ……地震だー!」
どこからか、そんな悲鳴に近い叫び声が聞こえてきた。しかし、そんな声も、轟音にかきけされる。
「み、三浦!上!」
ハッとして上を見ると、ガラスの雨が上空から降ってきた。
「う、うわわわわー!」
その叫び声も、先程の声と同様に、轟音にかきけされた。
グサグサグサ、と何枚ものガラスの破片が三浦や他の歩行者に降り注いだ。
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