第3章 噴火

5/10
前へ
/69ページ
次へ
気象庁 地震火山部 午後4時51分 「大沢崩れ噴火開始!」 「箱根外輪山のマグマ上がっています!」 「天城山、噴火!」 「三宅島、新島噴火!」 オペレーターの悲痛な叫び声が鳴り響いた。 「ぶ……部長、富士火山帯が一斉に噴火を開始しました……」副部長の声は震えている。 「このままだと、日本が……」恐ろしくて、部長の口からはその続きが言えなかった……。 静岡県 御殿場市 午後5時12分 武田はようやく御殿場インターチェンジを降り、火山灰が吹雪のように降り注ぐ御殿場市内の道を猛スピードで車を走らせていた。 そのほこらでポケットから携帯電話を取り出して、愛子の番号をプッシュした。 しかし、ただ呼び出し音がするだけで、一向に出る気配がない。 舌打ちを堪えきれず、チッと漏らす。 無事でいてくれ。武田はそれだけを願っていた。
/69ページ

最初のコメントを投稿しよう!

135人が本棚に入れています
本棚に追加