第3章 噴火

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東京都 首相官邸 午後4時20分 少しばかり時間を遡るが、首相官邸の地下、危機管理センター内に設置された災害対策本部の中はさっきの気象庁地震火山部部長の報告でざわついていた。富士山が噴火する?――しかも爆発的な? 議員たちは到底受け入れられない――いや、受け入れたくない――事だった。 そんなとき、室内に設置されたスピーカーが震えた。 『報告します。……こちら富士火山観測所……さき……富士……ばく……噴火……』 途切れ途切れの声の後、不思議とはっきりと聞こえてきた。 『再び報告します。先ほど午後4時21分頃、富士山宝永火口より爆発的噴火が観測されました。これにより――う、うわー!』 叫び声の後、富士火山観測所からの連絡が途切れた。会議室は静粛に包まれる。
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