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遂に噴火したか、と橋本は思った。
――西暦1707年、宝永山ができた噴火、宝永の大噴火から約300年。遂に、富士山は噴火した。
富士山 須走口
午後4時56分
愛子は、悲鳴を上げながら登山口の駐車場を走り回っていた。なにしろ、鳴り続く爆発音と地鳴り、そして降り注ぐ火山弾のすぐ下にいるのだ。
もう、気が変になりそうだった。
健一、早くきて!愛子は、ヘロヘロになりながら、叫び続けた……。
富士山周辺
午後5時00分
左右に曲がりくねった道を、武田は車を走らせていた。
しきりに、火山灰と火山弾が降り注ぎ、周りの木々は勢い良く燃えている。
道は、所々で崩壊していたり、大木が倒れていたりしていたが、なんとか走れていた。
武田は、しばらく車を走らせていると、うっすらと『この先須走口』と書かれた看板を見つけた。噴火はとりあえず小康状態になっているが、まだ大量の火山灰が降っていた。
――もうすぐだ。愛子、がんばれよ。そう小さく呟きながら、武田は車のスピードを上げた。
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