第3章 噴火

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遂に噴火したか、と橋本は思った。 ――西暦1707年、宝永山ができた噴火、宝永の大噴火から約300年。遂に、富士山は噴火した。 富士山 須走口 午後4時56分 愛子は、悲鳴を上げながら登山口の駐車場を走り回っていた。なにしろ、鳴り続く爆発音と地鳴り、そして降り注ぐ火山弾のすぐ下にいるのだ。 もう、気が変になりそうだった。 健一、早くきて!愛子は、ヘロヘロになりながら、叫び続けた……。 富士山周辺 午後5時00分 左右に曲がりくねった道を、武田は車を走らせていた。 しきりに、火山灰と火山弾が降り注ぎ、周りの木々は勢い良く燃えている。 道は、所々で崩壊していたり、大木が倒れていたりしていたが、なんとか走れていた。 武田は、しばらく車を走らせていると、うっすらと『この先須走口』と書かれた看板を見つけた。噴火はとりあえず小康状態になっているが、まだ大量の火山灰が降っていた。 ――もうすぐだ。愛子、がんばれよ。そう小さく呟きながら、武田は車のスピードを上げた。
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