第4章 分裂

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京都府 京都市 午後6時12分 京都市は、人口約150万の日本有数の大都市であった。 その時、それが起こる前、市民はパッ、パッ、パーッと三回光が走ったのを見た。 そして、それはやってきた。まず、ドーンという激しい縦揺れが襲い、次いでユサユサと横揺れに変わった。立っていられない程の振動だった。 京都駅では、列車がもの凄いスピードでプラットホームに突っ込み、待っていた乗客を撥ね飛ばした。 また、京都は「水の町」でもある。明治時代に琵琶湖の水を引き込む難工事を成功させ、琵琶湖からの水は京都の町の生活・経済に不可欠な存在となっていた。 ――そしてこの地震により、琵琶湖が決壊。その水は、京都の市街地に流れ込み、町は西方からだんだん水没していった。立つ気力を失った市民に、水は容赦なく京都を、市民を飲み込んでいった――。
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