第4章 分裂

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東京都 NHK 午後7時00分 富士山が噴火してからというもの、NHKの中は騒然としていた。 なにしろ、気象庁や現地に飛んだ特派員から送られてくる情報は、どれも信じられないような物ばかりだった。 NHKアナウンサーである遠藤祐介(えんどうゆうすけ)は、深刻な表情で話していた。 「現在までに、一連の自然災害の死者は、既に10万を越えているもようです。今回の災害について、地球物理学者、田川清二さんをお招きしています。――それでは、田川さん、お願いします」 田川、と呼ばれた地球物理学博士は、ゴホンと咳をしてから話始めた。 「はい。まず、今回の大災害は、あの東京大震災から始まり、東海・南海・東南海地震の同時発生、そしてとどめを刺したのが富士山の大噴火です。この一連の災害によって耐えきれなくなった中央構造帯とフォッサ・マグナが割れ、列島は東西に分裂しました」 田川は、そこまで話すと、一旦息を吸ってまた話し始めた。
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