第5章 避難

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「今、我々は戦後最大の悪夢に見舞われております。先程、東海・東南海・南海地震の同時発生し、更にその後富士山が大噴火しました」 午後8時00分、東京都、首相官邸。深刻な面持ちで橋本総理は記者団に向かって喋っていた。 「現在、先の東京大地震とこの4つの自然災害の死亡者は2000万人を超え、最終的には経済損失80兆円、死亡者は3000万人を上回ると予測されております。また、既に死亡されておりますご遺族の皆様には、御冥福をお祈りいたします」 そう言うと、橋本は深々と頭を下げた。それと同時に、パシャパシャッとカメラのフラッシュが飛ぶ。 「自衛隊及び民間の救助隊は、今後24時間以内に噴火被災地に向かわします。生き残っている人は、後24時間、頑張って生き残って下さい。お願い致します」 と言い、恐らくテレビ・ラジオを観ていないだろう、数百万人の被災者に向かって、また深々と頭を下げた。目には、絶対に出さないと決めていた涙が、一筋流れ落ちた……。
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