第1章 前兆

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その内の一つ、『火山情報』をクリックする。すると、今日のマグマの様子や、有感・無感を合わせた低周波地震の震源地、回数、マグニチュードが現れた。 ――やっぱりそうか。それらを確認しつつ、武田はインターネットを切った。 そんなとき、パソコンの横に置いてあった携帯電話の着信音が聴こえてきた。 その名前を確認すると、武田は「愛子か?」と電話に出た。 川崎愛子(かわさきあいこ)。登山家で、静岡県と山梨県の県境に聳える山、富士山を始め、日本の山をこよなく愛する。また、来月には武田との結婚も約束されている、婚約者でもあった。 『ええ。今、どこにいる?』 「静岡だよ。明日の朝には新幹線で東京に帰る。そっちは?」『もうすぐ御殿場。何回登っても、富士山は楽しみだわ』 愛子は、今日から富士山に登る。
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