第1章 前兆
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「そうか。じゃ、楽しんでこいよ」 『うん、そのつもり』 そんな会話をしていると、電話機の向こうから「愛子~」と呼ぶ声がした。 『あ、友達が呼んでるから切るわね。じゃ』 「あ、ああ」 そう言って電話は切れた。武田は、携帯電話を閉じると、窓から見える静岡の景色を見つめた。 遠くには、白く雪化粧した富士山の優雅な山陵が見えた。 ……あの、美しい山が噴火したら……。そう思うと、思わずブルリと身震いをした。
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