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午後12時25分、東京都、首相官邸。まだ完全に修復しきれていない会議室の一画で、『東京大震災災害対策委員会』と命名された委員会を行っていた。「…………」
しかし、室内はしんと静まり返っている。そのテーブルの一番はしの方に、橋本慎二(はしもとしんじ)内閣総理大臣は、腕を前に組んで、ジッと目を閉じていた。
この、橋本内閣内でも、山崎官房長官を始め、5人が犠牲になり、国会議員の中でも与野党合わせて56人の死者が出た。
今なお増え続けている死者数。この会議室から見渡すことのできる東京の街も、破壊されつくされていた。
「――判定会の報告はまだか?」
不意に思い出したように、橋本が口を開く。
「あ、はい。先程、判定会より報告がありまして、午後6時に開かれる記者会見で『東海地震注意情報』を発令するそうです。また、『警戒宣言』を発令するのも時間の問題だそうです」少し動揺しながら、新しく官房長官に就任した長崎英司(ながさきえいじ)が答える。
「そうか……」
静かに、そう応じる。
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