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その時、ガタガタガタ……と室内が小さく揺れた。
「――余震ですね」
と、落ち着いた表情で長崎が言う。
震度3……いや、4ぐらいだろうか。もうこの程度の地震には慣れっこになっている。
「首相。気象庁長官よりお電話です」
収まってから暫くして、首相秘書官が電話を持ちながら言った。
「橋本だが」
『首相。直ぐに東海地震注意情報を……いや、警戒宣言を発令してください』
電話の主は気象庁長官、安藤隆一(あんどうりゅういち)だった。かなり緊迫した声だった。
「なんだ。いったいなにがあった」
『先程の地震は、駿河湾の海底が震源で、震源が深かったために震度は小さいのですが、マグニチュードは7クラスで、既に駿河湾沿岸には高さ1メートル前後の津波が襲っています』
安藤はそこまで一気に言うと、深呼吸をして、更に続けた。
『その海底地震の影響で、東京大震災で活動を刺激されたプレートに、更に圧力がかかり、いつ東海地震が発生してもおかしくありません。とにかく、急いで下さい!』
ガチャン、とそこで電話は切れた。それが本当なら、大変なことになる。
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