~ 弐 ~

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 一月も経てば、彼のいる生活というものが、至極当然の風景になっておりました。  冬が終わるまで。長くても、あと三月程の事だ。  そう思うと、少し寂しいような気さえしてきたので御座います。  ある日、とうとう私は再び尋ねる事に致しました。何故我が家に来たのかを。  ずっと気にはなっておったのです。  勿論、彼が此処で楽しく過ごせておれば、それはそれで良かったのではありますが。  実は私は、あの方の事も、少し気がかりでは御座いました。  あれほど親しく、可愛がった彼を、あの方は理由も知らずに失ったのでは、と。
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