~ 弐 ~

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 どちらの能力が上ということは御座いません。  人には得手不得手がありますので、基本的に、自分が優れておる事は相手に教える。  そのように、お互い支え合って生活をしておりました。  その質問をした日は、連日の大雪とは違い、ちらちらと桜の花びらのような雪が落ちる景色が、窓の外に見えました。  今でもはっきりと、匂いすらも思い出せそうですよ。  匂いよりは、冷たい空気を吸い込んだ時の、つうんと鼻の奥が痛む感覚の方が鮮明ですが。 「俺があの方に拾われて育てられ始めたのは、五つか六つの頃だ。取り敢えず、自分で歩き回れる年ではあったと思う」
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