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4月の下旬、息を切らしながらバス停で私はバスを待っていた。
なぜなら、寝坊をしていつものバスを乗り過ごしてしまったからだ。
ブロロロ…バスが来た。私はバスに乗り、座れる席を探した。
ちょうどバスに入って右側の後ろから3番目の二人座れる席が半分空いていた。
私はその席に座っていた1人の女子高校生に声を掛けた。
「すみません。隣いいですか?」
と言うと
「どうぞ。」
と返事が返ってきた。私はその席に座った。
私の隣にいる女子高校生は変な格好をしていた。それは、スカートの下にジャージの長ズボンを履いていた。
今日はそこまで寒くないのに…と不思議に思ったがあまり気にしなかった。
あれから少し時間が経った。すると隣から「クシュン」とくしゃみの声が聞こえた。私は
「大丈夫ですか?」
と言いながらティッシュを渡した。
彼女は鼻をすすりながら
「ありがとう」
とティッシュを受け取った。
「…風邪ですか?」
と私が聞くと
「そう!でもそこまで酷くなさそうだから、ほっといてる。」
と彼女は笑いながら答えた。
私は(だから声が少し低いのか…)と勝手に解釈していた。
私は風邪をひいているのにほっといてる、彼女に少し興味を持ち、思わず
「あの…えっとι」
と言葉を濁すと、何かに気付いたように
「藤田葵(フジタ アオイ)」
と返事が返ってきた。
「名前が聞きたかったんじゃないの?ι」
と彼女の焦ったようすが見えた。
「あっ、そうですιえっと…私は、星樹緑(ホシキ リョク)です!」
と自分も名乗った。すると、
『ピンポーン、次は田三(タザ)高校』とアナウンスが聞こえた。すると、藤田葵という子は降りますというサインのボタンを押した。
「田三高校なんですか?」
と私は聞いた。
「そぅだよ。」
外には田三高校が見えてきた。藤田葵は降りる用意をしたので私は席を降りた。バスを降りようとしてた時、私は彼女の後ろから
「明日もこのバスですか?」
と、とっさに聞いた。
「そうだけど。」
と振り返りながら返事が返ってき、私は
「明日もし良かったらまた話ませんか?」
と大胆な事を言った。
「いいよ。」
と藤田葵は笑ってくれた。
藤田葵が降りて少し時間が経った頃、私が通っている高校が見えてきた。
私は藤田葵という新しい女友達が出来たと思い、嬉しくて鼻歌を歌いながらバスを降りた。
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