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帰りのバス、私と葵ちゃんは何気ない話ばかりしていた。
「で、その数学の先生のハゲ頭が俺の友達の鏡に反射してさ~」
と彼女は今日、学校で起きた面白い話をしてくれて私は思わず、
「あはは」
と爆笑してしまった。
可笑しすぎてお腹を抱えている私を無視して
「それで…」
と彼女は話を続けていると、
『ピンポーン。次は一文坂(イチモンザカ)~』
とアナウンスが鳴った。
私はいつもここでバスを降りて家に帰っている。
降りますというサインのボタンを押すと、
「家この辺なの?」
と彼女は聞いて来た。
「そうだ。」と答えると、
「俺は次のバス停なんだ。意外に近いね♪」
と嬉しそうに言った。一文坂のバス停が見えて来た頃に私は
「明日も今日と同じ7時40分のバスに乗るの?」
と聞くと
「そうだよ。」
と彼女が答えると、
「明日もいろいろ話していい?」
と私はすぐ彼女に聞いてしまった。すると、
「毎日この時間暇だったんだよね。話相手が俺で良ければ♪」
とニッコリと笑って彼女は言ってくれた。
『一文坂です。』
とバスのアナウンスが入り、私は葵ちゃんに「バイバイ」と手を振りながら急いでバスを降りた。
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