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…タタ…。
『早く早く!こっちだよ~。』
『ちょっと待ってよ。どこまで行くの?』
『もうちょっとだってば!』
『さっきからそればっかり…。もうちょっともうちょっとって、いつになったら…』
『あ!!』
『え!?な、何?!』
『あったよ!あれ!あのお家♪』
『あぁ何だ…いきなり大きい声出すからびっくりしたぁ…。』
『ごめんごめん!
でもさ!ほらちゃんとあったでしょ?』
『う…うん…。
でも…何か怖いよ…。』
『もぅ怖がりなんだから!だから泣き虫とか弱虫とか言われるんだよ?』
『うん…ごめん。』
『ほらほら。謝る相手が違うでしょ。ゆっちゃんにかっこいいとこ見せなきゃ♪ならきっと…許してくれるよ!』
『う、うん…。あ、でも…ちょっと待って。』
『何で?早く入んなきゃ日が暮れちゃうじゃん』
『…ホントに入るの?』
『ここまで来て何言ってんの!私がいるから大丈夫だって!早く早く♪』
『う…うん…。』
ガチャ…パタン。
カァカァ…。
不気味に鳴くカラスと夕暮れ時の紅い空…。
そう。これが全ての始まりだったのです。
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