Maria

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 いつものように、彼女に会いに行くと、そこには彼女はいなかった。 私は不審に思い、花屋の奥へと向かった。 花屋に入ったのは初めてで、見たことのない花が沢山あった。 私はむせかえるような香りの中を必死に駆け抜けた。 店の奥には、無残な彼女の姿があった。 体中がズタズタだった。特に腹が一番酷かった。 私はその場に崩れ落ちた。 彼女の体は恐ろしい程冷たく、固くなっていた。 ふと、後ろを向くと、花屋の店主が立っていた。 私はすぐに彼女の事を伝えようとした……が、やめた。 店主は、体中真っ赤で手には血で汚れたナイフを握りしめていた。 私は、すぐさま店主を殺した。 何度も何度も体を傷つけた。 店主はすぐに動かなくなった。 その瞬間、私のどこかで何かが壊れたような音が聞こえた気がした。 私はしばらく座りこんだ。 体中の節々が痛み、私は床を転げ回った。 しばらくすると、体の痛みは嘘のように引き、私は二本の足でしっかりと床を踏みしめていた。 いつもより、床が遠い。 いつもより、体が重い。 私は床を踏みしめながらそう思った。 私は床に横たわる彼女を静かに見つめた。 私は初めて彼女を腕に抱いた。 彼女は意外に重く、そして先ほどよりも冷たくなっていた。 私は、声を上げて泣いた。 ……初めて流した涙は、彼女にポタポタと、雨のように降り注いだ。 そして私は、彼女の首を切り取り、家へと持ち帰った……。 ……私は彼女の名前を知らなかったのだ。 ……教えて、くれなかったのだろう。  白い白い雪は、音もなく空から降り注ぐ。 私と彼女の体は白に包まれて、その白は、なんだか結婚式を挙げる夫婦の衣装のような、厳かな雰囲気を醸し出していた。  ふと、私は自分の体に奇妙な羽が付いているのに気がついた。 ……黄色い、羽。 それは、体中にこびり付いていた。 いや、それは、私の体から直接生えていた…………。 ………そして、私はやっと彼女の言葉を理解する事ができたのだった……… .
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