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詩炉の一方的な会話についていけずにいると響は冷静な口調で言った。
「詩炉、早く行きますよ。あなたの書類と始末書と遊びの領収書を処理しているおかげでこっちは何年寝てないと思ってんですか?だいたい自分の書類くらい自分でやって下さいよ。とにかく、今日という今日は寝させてもらいますからね。」
表情には出さないが、かなりイライラしているようだ。
しかし詩炉は気にすることなく笑顔で返した。
「わかってるって♪
あー、こいついつもこんな感じだから気にしなくていいよ。」
絶対押し付けるつもりだ。
状況があまり読み取れない私でもそれだけはわかった。
「それじゃまたいつか会おうね!」
詩炉が愛想よく手を振って、響が一礼すると私がまばたきを一回する間に消えていた。
「本当…どうなってんの?」
私の疑問は照りつける太陽の下でコンクリートに貼り付いている蝉達の必死のラブコールにかき消された…
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