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あまりにも衝撃的な光景にしばらく見入っていれば、その視線に気づいたかのようにこちらと目があう。
目があったことにより少しびくついて軽く会釈をし、その場を離れようとすれば声をかけたれた。
「ねぇ君、もしかして最近そこの十字路で交通事故にあって死んだコ?」
まるでその辺で女の子にナンパするような軽い調子で物凄いことを言われた気がする。
相手は二十歳を過ぎたくらいで愛想のいい笑顔を向けいた。
二十歳を過ぎて世の中の常識をわかってきた年頃だと言うのにそんな格好して良いものかと思ったが、私の答えを待っているかのようだったので躊躇しながらも答える。
「はい、えっと…多分そうです。」
そう言えば彼はガッツポーズをして、とても嬉しそうな顔をしていた。
…いろいろ失礼だと思う。
「よっしゃーっ!やっと見つけたぜ。
天宮皐ちゃん!!」
天宮皐…?
ああ、私のことか。
幽霊になったせいなのかわからないが、どうやら自分の名前も忘れかけていたみたいだ。
しばらくぼーっとしていればまた悪寒が走る。
また来る…
それに気づいたかのように彼も喜ぶのをやめてバイクに乗り、私もバイクに乗るように促しあのピンクのヘルメットを渡す。
一体何をするつもりだろうか?
一向にバイクに跨る様子を見せない私に痺れを切らしたようで半強制的にバイクに跨らせた。
「ごめん、いろいろ説明しなきゃいけないとこだったんだけど皐ちゃんには時間があまりないんだ。
詳しいことは乗りながら話すから、早くしないとノイズに食べられちゃうし。」
そう言って私の後ろを見れば凄まじい量の悪霊たち。
私は急いであのヘルメットをかぶり彼の背中にしがみ付けばそれと同時にバイクは発進した。
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