似ている

俺は騒音が鳴り交じる雑踏の中にいた。
なぜかいつの間にか、この場所にいたのだが、俺にとってそんなことはどうでもよかった。
あのビルから飛び降りて死のうかな…。
などと考えながらふと前を見ると俺のちょうど4m程前に一人の少年がいた。
その少年が俺のほうを向き「似ている」と俺が見ている限りずっと呟いている。
俺は気味が悪くて今にも逃げ出したい気分だったが…。
足が…動かない…。
人々の話し声が周波数の合わないラジオのように聞こえた。
しかしそんなことはどうでもいい…早くここから逃げなければ…。
すると突然少年が立ち上がった。
少年が立ち上がると同時に俺の足は堰を切ったように動くようになった。