第一章【―mosquito―それは害虫】

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わけわかんねぇから。なに勝手に決めてくれちゃってんの? 「神様……だよな?」 『だから違うって』 「いや、だって見えなくて声だけ……」 ――とその時、耳元でブーンと音がした。 『ここにはライバルもいないからな。快適とまではいかないが、それなりに心地いい』 ムカつくヤツだな。姿が見えればぶっ飛ばしてやるんだが。 そこで、電気をつけてみたが、やはり誰もいない。 『ここだよ、ここ』 声のした方に目を向ける、とそこには、黒く小さな何かがせわしく飛び回っている。 『ハッハー! やっと見つけたかこの野郎――てなにすんだよ!?』 チッ……はずしたか。だが、次こそは―― 『な!? そ、それは!!』 プシュー くそっ! またはずした! ちくしょう、ちょこまかとうっとうしい。 俺は、主婦の味方である赤いアイツを構える。 「今度こそ……終わりだあァァァッ!!」 『や、やめてくれェ! 俺に忌まわしきそいつを向けないでくれェ』 俺は容赦なくアー○ジェットの引き金を引く。 プシュー 命中した。 「……南無阿弥陀仏」 この時、まだ俺は気付いていなかった。この出会いが運命を変えるきっかけになることを。 てか、蚊がしゃべんなよ。 ――mosquito――それはいきなりやって来た。災難という名の害虫。
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