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…え……?
ライは下を向いたまま、目をゆっくり見開いた。
ポン、ポン…
一定のリズムで頭にかかる、自然な重み。
ライは顔を上げた。
「……――ッ……」
穏やかで
切なげな
…少年の顔。
少年の手が、優しく頭に触れる。
どうして…?
ライは不思議に思いながら少年を見た。
ライの目には微かに滴がある。
どうして…そんなに優しく…――
あなたは人間なんじゃないの…?
「…どうした…?」
少年は、子供とは思えないような微笑を見せて言う。
「……苦しいのか…?」
憂いを秘めた瞳。
呼吸が詰まった感じがしたと思うと、
いつの間にかあたしは泣いていた。
「……ニャー…」
ライは俯いて、静かに鳴いた。
少年は静かにあたしを抱きしめた。
「……そっか」
少年の体温。
抱きしめる腕。
あたしは
心地良さで眠りについていた。
ふと
少年の声が聞こえた気がした。
・
「…お前も苦しいのか」
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