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…連夜。
あなたをこれほどまでに愛し始めたのは
いつからだったかな…?
藍は窓に手をつき、止まない雨をみていた。
「…藍……?」
後ろから声が聞こえる。
穏やかで、優しい声。
振り返ろうとすると、後ろから大きな身体があたしを包みこんだ。
「…何…してんだ…?」
「連夜…」
後ろから抱きしめられ、背中が暖かい。
藍は安心したように息をついた。
「…どうしたの?
寝たのかと思ったけど…起こした?」
藍は首元に回された連夜の腕に手を添える。
「……いや…」
連夜は藍のうなじに、切なげに唇を当てた。
「また…どっか行っちまうんじゃねぇか、と思って…――」
「……――」
藍は振り返り、連夜と向き合う。
「…行かないよ。
もう、あたしは人間で…連夜の彼女なんだから」
連夜の頬に手を添え、ゆっくりと唇を重ねた。
「…ちょっと、昔を思い出してたの…。
あ、今だと前世になるのかな」
1年前なのに前世、っていうのがちょっとおかしくて笑う。
「…どんな事を?」
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