連想の雨

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軽く微笑む。 藍は薄暗い部屋の中を歩き、白いベッドの端に腰を下ろした。 「あのね、あたし達が出会った頃の事」 連夜は窓辺に残り、ベッドに横たわる藍を見ている。 「連夜…覚えてる?」 藍はベッドで寝転び、視線を連夜に向けた。 「ああ。覚えてるに決まってんだろ…」 連夜が近付いてくる。 藍はYシャツ一枚の恰好で、目を浅く閉じた。 「もう10年以上も経つんだね…――」 「懐かしいか?」 「もちろん。ちっちゃい連夜可愛いかったなぁ」 「……」 連夜は顔を赤く染め、藍と向かい合う。 連夜に微笑みかけると、連夜も照れたように笑った。 「…連夜…好き」 「ああ」 父様に転生させてもらって、連夜に再び逢えた。 また連夜の傍に居られる事が なんていうかな… 幸せすぎ。 心で話したかのように、無言のまま自然に抱き合う。 「こうしてると、やっぱりあの頃思い出すよ…」 「ああ…――」 俺もだ、と連夜が囁く。 懐かしき幼かった日。 記憶が蘇って 胸が温かくなる。 連夜に寄り掛かりながら、静かに目を閉じた。 連夜と この 運命の人と 過ごしてきた日々…――image=100022131.jpg
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