距離

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「和樹ー、友達上がらせるわよー」 親の声が部屋まで聞こえたから、 おれも部屋から出ずに 「ほーい」と大声で言った。 ―…おれと親のやりとりが 彩夏の部屋でも聞こえてたのか、 いろんな喋り声が聞こえてきた。 「え?和樹先輩いるの?!」 「うっそ!超会いたいんだけど!!」 「ってゆーか友達って?」 「和樹先輩に会おーよ❤」 「和樹ー。いるかぁ?開けるよー」 …この声は翔吾か。 おれはコンポの音量を下げて、言った。 「おう、入れよ」 ―…ガチャッ 部屋のドアが開いて、 汗だくの翔吾が入ってきた。 「なにおまえ、バイト帰りか?」 「あぁ…やばい疲れたー。酒飲みてぇ!!」 翔吾のその言葉に、おれはニヤッとした。 「酒ならありますぜ?旦那さん…」 「おぉ!まじで?っしゃあ!!」 翔吾はガッツポーズをしながら床に寝そべった。 「……また寝るなよ?」 「寝るわけねぇじゃん。大事な話をしに  此処に来たんだし」 …そーだった。 『大事な話』…。 …って…なんだろうな…。
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