距離

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「話は終わりだ。  …じゃ、おれ そろそろ帰るわ」 「おう、明日な」 おれは、そう言いながら翔吾に手を振った。 部屋のドアを翔吾が開けると同時に、 彩夏の友達の声が一気に聞こえてきた。 「あ、し…翔吾先輩!!」 「こんばんは!!!」 「…こんばんは」 翔吾は少し苦笑い気味に言った。 ―…こいつ等、いつの間に ドアの前にいたんだよ…。 …話の内容は聞こえてねぇよな。 ボソボソ喋ってたし。 そう思いながらも、おれは不安になって 一番後ろにいた彩夏を呼び出して、聞いた。 「…彩夏、おまえ等いつからいたんだ?」 「ついさっきだよ。  あの子達がお兄ちゃん達と  お喋りしたいってゆうから」 あぁ…なーんだ。よかった。 つーか おれと話したい? …ちょっと照れるじゃねぇか笑 「おい、和樹!おまえもこっち来いよ」 翔吾は女軍団に捕まったのか、 質問攻めをされて困っていた。 「あの、彼女いるんですか?」 「ってゆーか超かっこいいです!」 「和樹先輩と同高ですよね?」 「ってゆーか憧れてました!」 「やっぱ高校でもモテますよね!」 …プッ。 翔吾には悪いけど、しばらくの間、 このやりとりを見守っといてやるか。 「おい、和樹~頼むよ~」 翔吾のその言葉に、 おれは笑顔で手を振った。
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